この記事では、1日の食事回数がなぜ3回となっているのかを解説し、大人が健康維持するために、食事回数と食後の運動、摂取カロリー/消費カロリーのバランスについて考えていきます。
- 日本は何で1日3食なの?
- 適切な食事回数って何回なの?
- 体重が増えている、食事のタイミングや内容に自信が持てない
- 夜遅い時間に食べる習慣があり、やっぱり体重が増えるか不安
こんな疑問を持っていたらこの記事が参考になるかもしれません。
結論から言えば、健康に連動する最も重要な指標である体重は、食事回数ではなく、摂取カロリーと消費カロリーのバランスで決まります。
そして、糖質が脂肪になる前に消費させることが重要です。
また、本記事は健康な方が体重をコントロールする際には参考になりますが、ご病気を患っている方は、必ず医師や栄養士の方の指示に従ってください。
ではなぜ3回がスタンダードになったかを考えていきます。
日本の3食はどうして始まった?|江戸時代に広まった1日3食
江戸時代までは1日2食が主流だが間食も
江戸時代中期までは、1日2食が基本だったといわれています。
ではそれ以前がどうだったかというと、例えば、鎌倉時代の武士たちは基本的には1日2食でしたが、訓練や実戦には軽い食事を持参して、おなかがすくと食べていました。
このとき重宝したのがおにぎりです。
鎌倉時代初期の1221年に発生した承久の乱の際には、鎌倉幕府が武士に梅干し入りのおにぎりを配ったといわれています。
この頃、海外に留学していた日本の僧たちは、海外の1日3食の伝統を受けて、自分たちも1日3食を食べ、それが公家を中心に広がったとされています。
しかし文化となるのはまだ先の話になります。
文明の発展で人の活動時間が増え不足するカロリー
江戸時代に入り、幕府主導で菜種油の原料となる菜種の増産を開始します。
菜種油は、これまでの油に比べて、明るいという基本的なメリットのほか、臭いが改善されて家の中でも使用できるたり、生産も菜種自体が稲作の裏作で栽培できるなど、様々なメリットがありました。
栽培量が増えれば、流通量に合わせ、油の価格が低下するのはいつの時代も同じです。
現代で言えば、電気代が安ければ、電気つけっぱなしでも安心して夜中まで何かをするのと同じです。
そうして、良質の油が庶民にも手に入りやすくなると、夜も遅くまで起きているようになり、活動時間が伸びていきました。
油の増産は、天ぷらなどの食文化にも影響を及ぼしていきます。
1657年に起こった「明暦の大火」以降、焼けた町の復興のために職人が江戸に集結し、食の事情が変わってきました。
肉体労働のため1日2食では体がもたず、昼過ぎにも食事を提供するようになったというのが一つの説です。
文化の発祥の地でもあった江戸での出来事とともに、復興のために集まり、1日3食を食べながら仕事を終えた職人たちが、日本各地に戻っていくことになります。
昭和初期には、国立栄養研究所の研究者である佐伯博士が1日3回食事を奨励しました。
日本人の体格が欧米人に比べ小さいことから、摂取カロリー不足が原因であると考えられました。
カロリーを計算した結果、1日2食では到底摂取しきれないカロリーが必要であり、1日3食が理想的であると発表されました。
以上から分かるように、昔から続く1日3食は、歴史的に見ても、日本人の食生活の摂取するカロリーや栄養素が低いために、増やされた結果です。
高カロリーな食事も増えた現代で、ライフスタイルが多様化した個人に合わせ適切な食事のタイミングがあると思いますが、3食が定着してきたことを踏まえて深堀したいと思います。
1日に必要なエネルギーは?
まず健康を維持するためには、1日に必要なカロリーを把握することが重要です。
1日の消費カロリー量
性別や年齢、身体活動レベルによって異なる推定エネルギー必要量を確認しましょう。
適切なカロリー摂取量の理解は、1日の食事の目安になります。
身体的性別 | 男性 | 女性 | ||||
身体活動レベル | I | II | Ⅲ | I | II | Ⅲ |
18〜29(歳) | 2300 | 2650 | 3050 | 1700 | 2000 | 2300 |
30〜49(歳) | 2300 | 2700 | 3050 | 1750 | 2050 | 2350 |
50〜64(歳) | 2200 | 2600 | 2950 | 1650 | 1950 | 2250 |
65〜74(歳) | 2050 | 2400 | 2750 | 1550 | 1850 | 2100 |
75以上(歳) | 1800 | 2100 | − | 1400 | 1650 | − |
身体活動レベル
I:生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
II:座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツのいずれかを含む場合
Ⅲ:移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合
参考情報:日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
体重によって必要なカロリーは前後しますので、興味がある方は日本人の食事摂取基準(2020)(厚生労働省)を確認してみてください。
食事回数は1日3回がバランス良い
現代においては、多様なライフスタイルを背景に、1日の食事回数は、個々の体質やライフスタイルによって大きく異なります。
一方で、社会自体が3食を基本としているので、いきなり自分だけ違う時間に食事することができない場合もあると思いますので、3回のベースをうまく使って、体調や体重をコントロールするのが妥当だと思います。
1日3回をバランスよく食べれば、必要なエネルギーや栄養素をバランスよく摂取できる土台になります。
ではどのようなバランスがいいでしょうか?
ここでは、カロリーベースで、体重をどちらにコントロールしたいかを深堀っていきたいと思います。
太る(脂肪が付く)仕組みを知っておく
考え方は非常にシンプルです。
長期的に見て、消費カロリーが摂取カロリーを超えていれば体重は痩せる方向、逆に摂取カロリーが消費カロリーを超えていれば太る方向になります。
人によって吸収力も異なるので、同じものを食べても実質的に摂取されるカロリーは異なる可能性がありますので注意が必要です。
短期的にはどうでしょうか。
不健康な体重の増加は、多くは中性脂肪の増加だと思います。
この図は、人が食事をとった際の脂肪になる過程を簡単に示しています。
食事後、炭水化物のうち、糖が血中に増えると、インスリンが分泌され、血中の糖分濃度を下げるため脂肪に変換されます。
過剰に糖が摂取されるほどインスリンが分泌されて脂肪になるので、よく言われる二つのことが分かります。
- 食物繊維を多くとる
- 炭水化物の食物繊維割合を増やして糖を少なくする
- 血糖値の上りを緩やかにする
- 血糖値が上がりにくいものを食べる
- 糖質が多いものを後に食べる
食事を3回に分けることで、血糖値をコントロールすると同時に、栄養バランスの確保がしやすくなります。
いつ脂肪を消費する?
圧倒的に食後に軽く運動し、糖を糖のままエネルギーに変えることが効率が良いです。
以下は食事後に糖が消費される手順を簡単に記載した内容になります。
実は、筋肉が食事でとった糖質の70%を消費していると言われています。
筋トレで基礎代謝が上がるのはこの筋肉質中のたんぱく質が血糖中のブドウ糖を筋肉に取り込んで消費することによります。
このたんぱく質は、筋肉の収縮で表に出てくるので筋肉を動かすことが重要になります。
血糖値が上がって下がるのがおよそ食後2時間ということなので、食後に意識的に筋肉を動かせば、脂肪化を抑えてくれる可能性があります。
血糖値を下げるという意味では、インスリンは糖を脂肪にして血糖値を下げますが、食事が過剰だととくにおなか周りにある糖が内臓脂肪になってしまいます。
また、インスリンは、副交感神経が優位の時にも出やすいということが分かっていますので、例えば、リラックスしているときや寝ているときが該当します。
そう考えると、腹ごなしの運動や、寝る前の2時間は食べないようにというのは、血糖値の考え方がもとになっていますね。
また、脂肪になってしまった糖を脂肪に戻す大筋の過程は、運動をして身体がエネルギーが必要な状態になった後、脂肪の代謝や分解に関わる酵素リパーゼが脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解し、血液中に出た脂肪酸を筋肉が消費するという手順を取ります。
有酸素運動が20分必要になるというのは、脂肪酸が消費されるようになるまでに、時間がかかってしまうということが分かります。
なので、脂肪になる前の糖質のまま存在している状態で筋肉がそれを利用すれば、効率的に脂肪が増えない状況が作り出せると言えそうです。
朝昼よく食べ、夕は軽くがやはり良い
インスリンが出すぎると、糖が脂肪に代わってしまうため、食後2時間は動ける状態である必要があります。
このため、朝夕は必然的に食べても問題ないですが、夕食後にまったりしてしまうと、脂肪がつきやすくなるため、糖質を下げるか、運動するかなどを考慮したほうが良いようです。
1日2回以下の食事をやるなら短期的に行うのがおすすめ
1日のうち、1回または2回のみとするのは、主に断食や特定のダイエット法で行われることがあります。
一般的にはバランスの取れた栄養摂取が難しく、代謝率が低下する可能性があります。
あるいは、反動で一回に食べ過ぎてしまい、血糖値が上昇し、逆に不健康になる場合もあります。
一方で、最近では胃腸を休めるために、食事をしない時間を作ることで、健康的になったり、やせたりという報告もあります。
これは、抜いた分を2食に追加せずに、カロリーや血糖値の上昇に気を付ければ、有効かもしれません。
何事もやりすぎず、健康を考えて行うのが重要です。
1日4回以上の食事はどうか
主にスポーツ選手や筋トレを行う人が、食事を4回に分けることで、筋肉の合成を促進し、エネルギー補給や栄養素の吸収を効率的に行う場合があります。
また、食事ではなく、合間に軽食やスナックを摂る方法もあります。
食事回数を増やすことで、空腹感を抑えながら適切なカロリー摂取が可能になります。
適切な食事内容と食事間の時間管理が重要です。
食事で考えるべきまとめ
1日の食事回数が3回なのは、古くは文化的なエネルギーの摂取状況、そして日本の社会性や血糖値の上昇などを考慮した結果定着したと考えられます。
食事回数は3回に合わせて、対応するのがうまいやり方だと思います。
そして、中性脂肪をつけないように、食後に軽く筋肉を動かすことが重要です。
食事回数は個人の体質や目標に合わせて選ぶべきです。
以下に考えるべきことをまとめます。
- 目標の設定
- 食事内容を見直す前に、自身の目標を明確にしましょう。
- 体重管理や健康維持、筋力増強など、個々の目的に応じて食事内容を決定します。
- ライフスタイルの考慮
- 自分の日常生活やスケジュールに合わせて、食事と食後の運動を考慮して、食事内容を考えます。
- 忙しい人は1日3回の食事が難しい場合もありますが、その場合は別の選択肢を検討することも重要です。
- 夜やリラックスタイムはインスリンが分泌されがちなので、糖を含むものは避けましょう。
- 食事内容の見直し
- 食事回数を変更する場合は、食事内容にも注意が必要です。
- バランスの取れた栄養摂取を心掛けましょう。
- 健康的な食事の基本的な要素として、野菜、タンパク質、炭水化物、脂質のバランスが重要です。
- 少しずつ変化を加える
- 食事回数を変更する場合は、一度に大幅な変化を加えるのではなく、徐々に調整していくことが望ましいです。
- 体が適応しやすくなり、健康に無理なく食事回数を調整することができます。
- 個別の相談
- 食事回数の見直しに関して、栄養士や医師に相談することをおすすめします。
- 個々の体質や健康状態を考慮して、最適な食事回数や方法を提案してもらえます。
食事内容は個人によって異なるため、自分に最適な食事回数や生活パターンを見つけることが重要です。
健康な食生活を送るためには、食事回数だけでなく、バランスの取れた食事や適切な運動も合わせて考えましょう。
健康は家庭の基盤です。
体重が気になる場合は、以下の記事を参照してください。